近年、インバウンド観光が再び活況を迎えています。特に外食業界は、海外からの観光客による売上増加で恩恵を受けています。
しかし、増加するインバウンド需要に対応するためには、効果的な対策が必要です。
そこで本記事では、外食業界におけるインバウンド市場の現況や、飲食店が実施すべきインバウンド対策、そして、その中でも特に重要な役割を果たす特定技能外国人の活用について詳しく解説します。
インバウンド活況で好調の外食業界
日本フードサービス協会の最新の調査によると、2024年2月の外食産業市場は前年比で11.4%の売上増加を記録しました。また、2019年比でも15.7%増加し、コロナ禍からの回復傾向が続いています。
特にディナーレストラン業態では、全体売上が前年比11.8%増となり、客数は8.5%増、客単価も3.1%増加しました。
ファミリーレストラン業態でも前年比12.8%増、特に焼き肉の伸び率は14.4%増と顕著で、インバウンド需要が強く影響しています。
パブや居酒屋業態も、降雪などの影響を受けながらも回復し、全体売上は前年比10.8%増。喫茶業態でも前年比12.1%増となりました。
一方で飲食店の人手不足は深刻に
インバウンドが盛り上がる一方で、飲食店では人手不足が深刻で、営業日数を削減せざるを得ない状況も見られています。厚生労働省および農林水産省によると、日本の外食業における有効求人倍率(外食業計2.6%)は全産業平均(1.2%)に比べると2倍以上と高く、欠員率についても他産業と比べて高くなっています(2021年時点)。
出典:農林水産省
つまり、インバウンド活況で需要が伸びているにも関わらず、人手不足によって営業ができない=非常に大きな機会損失が起きているとも言えます。
こうした背景から、後述する「特定技能ビザ」を筆頭に、農林水産省は外食分野における外国人材の受け入れを強化しています。
2018年の入管法改正により、特定技能外国人が外食企業で最大5年間就労できるようになり、技能測定試験用の学習テキストも公開されています。
2024年からは特定技能2号の雇用も可能となり、更なる外国人材の活用が期待されています。
飲食店のインバウンド対策のポイント
外食業界が持続的に成長するためには、インバウンド対策が今後欠かせません。
訪日外国人観光客が求めるサービスや利便性を提供することで、ファンやリピーターを増やし、口コミでの集客も期待できます。
以下では、飲食店のインバウンド対策のポイントをいくつかお伝えします。
ターゲット層(国)を絞る
効果的なインバウンド対策を行うためには、どの国からの観光客をターゲットにするかを明確にすることが重要です。国ごとの食文化や好みに合わせたメニューやサービスを提供することで、顧客満足度を高めることができます。
異文化や宗教への理解
多様な文化や宗教を持つ外国人観光客に対応するためには、その背景を理解することが必要です。ハラール対応やベジタリアンメニューの提供など、柔軟な対応が求められます。
競合店や他業種店の調査
競合店や他業種の店舗がどのようなインバウンド対策を行っているかを調査し、自店舗の強みを生かした独自の戦略を立てることが重要です。他社の成功事例を参考にしながら、差別化を図りましょう。
絶対にやるべき飲食店のインバウンド対策
以下では、より具体的な飲食店のインバウンド対策を4つご紹介します。
いずれも重要な対策であり、経営を安定させる必須の取り組みもありますので、ぜひご参考ください。
メニューやSNS等の多言語対応
外国語メニューの導入やSNSでの多言語発信は、外国人観光客が利用しやすい環境を整えるために欠かせません。英語や中国語、韓国語など、主要な言語での対応をまずは強化しましょう。
キャッシュレス決済の導入
海外からの観光客はキャッシュレス決済に慣れています。クレジットカードやモバイル決済に対応することで、利便性を向上させることができます。
フリーWi-Fiの導入
フリーWi-Fiは外国人観光客にとって重要なサービスです。観光情報を検索したり、SNSに投稿したりするために、安定したインターネット環境を提供することが求められます。
外国人人材の採用・育成
外国人観光客とのコミュニケーションを円滑にするためには、外国人人材の採用・育成が非常に重要です。多言語対応が可能なスタッフを配置することでサービスの質を向上させることができ、しっかりと育成できればスタッフも定着し、経営も安定していくでしょう。
飲食店の留学生アルバイトについて
現在、日本には多くの留学生が在籍しており、その多くが「留学」の在留資格で滞在しています。
留学生は、学業を主な目的としながらも「資格外活動」としてアルバイトが許可されており、多くの飲食店で外国人が働いています。
外国人人材の採用・育成が今後飲食店には重要と前述しましたが、これは正社員に限った話です。
以下では、留学生アルバイトの現状と限界(課題)について解説します。
週28時間の就労制限
留学生が働く際の在留資格「資格外活動」には、1週間あたり28時間までの就労制限があります。この制限は、学業を優先させるためのものであり、長期休暇中のみ週40時間までの就労が許可されています。
この時間制限により、留学生アルバイトはフルタイムの労働力としては活用しにくく、シフト管理が難しいという課題があります。
留学生アルバイトのメリットと限界
留学生アルバイトは、すでに一定の日本語能力を持ち、文化的にも日本に適応しやすい点が利点です。一方で、あくまでも学業優先であるため、急なシフト変更が難しいことや、長期的な雇用が困難であることが課題です。また、学業修了とともに帰国する人や国内の企業に就職する人も多く、飲食店にとっては人材の安定確保が難しいという問題もあります。
留学生アルバイトで人手不足を賄うのはやはり限界があり、こういった課題に対応するためには、後述する「特定技能ビザ」の活用が今後飲食店にとって重要となっていくでしょう。
外食業界で活躍する特定技能外国人とは
特定技能制度は、2019年4月に導入されたばかりの新しい制度で、日本国内での就労を目的とした在留資格です。この制度は、一定の専門性や技能を持つ外国人を対象としており、外食業界においても重要な役割を果たしています。
特定技能1号では、外国人が外食企業で最大5年間働くことができ、特定技能2号ではさらに長期間の就労が可能です。
2023年末時点で、日本では13,312人の特定技能外国人が外食企業で働いています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和5年末)」
この人数は決して多くはないですが、特定技能は始まって間もない制度であり、他の在留資格と比べるとその人数は急激に伸びています。
政府は今後、この「特定技能」を中心として企業の外国人材の採用を後押ししていく考えであり、企業がより雇用しやすい制度に改正されていくことが予想されます。
そのため、外食関連企業は今のうちから特定技能外国人の採用を進めていくことをおすすめしています。
優秀な特定技能外国人を採用する方法
飲食店で優秀な特定技能外国人を採用するには、経験豊富な登録支援機関を活用することが効果的です。登録支援機関では、適切な人材のマッチング、ビザ申請手続き、入国対応、受け入れ後の教育や生活支援、定期面談、トラブル対応など、包括的な支援を行なっています。
この全てを飲食店が独自に行うことも可能ですが、人材探しやビザの手続きなどは簡単ではなく、初めて特定技能外国人を採用する場合は登録支援機関をまず利用する飲食店がほとんどです。
一方で、外国人材が早く職場に適応できるよう、受け入れ側も積極的に日本語や日本文化の研修を実施し、既存スタッフとのコミュニケーションを促進することで労働環境を整え、定着率を高めることも重要です。
特定技能外国人を採用したい飲食店は、外食業における外国人材の紹介・支援実績が豊富な登録支援機関を活用しましょう。
特定技能外国人に特化した登録支援機関「Funtoco」
登録支援機関である弊社「Funtoco」では、累計1,400名以上の特定技能外国人を企業様にご紹介してきました。圧倒的に高い定着率が強みで、Funtocoが紹介する特定技能外国人の企業定着率は全業種平均で85%以上となっています。
社員の半分近くを多国籍な外国人で占めており、紹介した人材や支援委託を受けた人材の支援を母国語で行える点も強みです。また、外食業界や介護業界の人材紹介を特に得意としており、「ミャンマー」「インドネシア」「ネパール」の人材紹介に強い点も特徴です。
特にネパール人は英語が堪能な方が多く、外食企業でたくさんの方が活躍されています。
人手不足にお悩みの企業様はもちろん、正社員での外国人採用に不安がある企業様、そして採用した外国人人材の支援・サポートに手が回っていないという企業様は、ぜひFuntocoにお任せください。
弊社は、日本で働く外国人の方々の幸せも考えながら、企業様の人材不足と生産性の向上を精一杯サポートさせていただきます。