日本の介護業界は、深刻な人手不足に直面しています。厚生労働省の推計によれば、今後数十年で介護職員の需要はさらに増加する一方で、国内の労働力人口は減少し続けることが予測されています。

このような状況の中、多くの介護施設が外国人労働者の採用に目を向けています。

そこで本記事では、介護職における外国人労働者の採用について、必要な在留資格、及び採用にあたっての注意点などについて徹底解説します。

この記事は、これまでに300施設・850名以上の外国人介護人材を紹介してきた登録支援機関の経験や実績をもとにお伝えしていきますので、ぜひご参考ください。

介護職で外国人採用が増えている理由

冒頭でお伝えしたように、日本の介護業界は深刻な人手不足に直面しています。

厚生労働省によると、2040年度には約69万人の介護職員が追加で必要とされており、労働人口の減少が続く中、この需要を満たすことが困難になってきています。

そこで、この深刻な社会課題を解決するため、日本政府は外国人労働者の受け入れを積極的に推進してきました。

以下は、介護分野における外国人の受け入れ実績です。

出典:厚生労働省「介護分野の外国人受入実績」

各在留資格の詳細については後述しますが、現在「特定技能」の在留資格で日本に在留している外国人が最も多くなっています

以下の推移を見ると、2019年の特定技能制度開始から急激に在留者数が増加していることがわかります。

出典:厚生労働省「介護分野の特定技能外国人在留者数の推移」

今後政府は、この「特定技能」制度を中心として、介護業界の人材不足を解決していく考えです。

外国人を採用するメリット

介護業界において、外国人労働者の採用には多くのメリットがあります。

第一に労働力不足の解消に貢献することはもちろんですが、多様な文化的・社会的背景をもつ外国人職員が集まることで、施設内の国際的な環境が患者にとって新たな刺激となり、コミュニケーションの活性化にもつながります。

また、母国で暮らす家族を支えようと高いモチベーションを持って仕事に取り組む外国人も多いため、長期で働いてくれる人材を確保できることも大きなメリットです。

一生懸命に学び、働く外国人職員の姿勢は、日本人職員に大きな刺激を与えることもあるでしょう。

外国人採用ができる4つの在留資格


日本の介護業界において、外国人労働者を受け入れる手段は主に4つあります。

以下では、それぞれの在留資格の特徴を詳しく解説していきます。

EPA

経済連携協定(EPA)に基づき、特定の国々から介護人材を最大3年間受け入れることができます。これは日本政府が特定の国と結んだ協定の一環で、フィリピン、インドネシア、ベトナムが対象です。EPAによる介護人材は、介護福祉士の試験に合格できれば定住できますが、試験の難易度が高く、特定技能に移行して在留を延長する人が多いです。

介護ビザ

「介護」ビザは、介護職に特化した在留資格で、介護福祉士の資格を取得することで取れる定住ビザです。当初は日本の介護専門学校卒業者などを対象にしていましたが、介護福祉士の資格を取得できれば技能実習や特定技能からの移行も可能となり、介護ビザ取得者は年々増加しています(2022年末時点で6284人)。

技能実習(育成就労)

技能実習制度では、外国人が最大5年間、日本で介護技能を学びながら働くことができます。しかし、本国でN4以上の日本語能力の取得、来日1年後のN3取得というハードルの高い要件から、特定技能と比べて広く浸透しませんでした。今後は技能実習制度が廃止され育成就労制度に新たに切り替わりますが、これからは後述の「特定技能」が中心となって普及していくでしょう。

特定技能

外国人介護人材の受け入れにおいて最も期待が集まっているのが、「特定技能」制度です。特定技能では最大5年間の在留が認められ、技能実習と比べても制度面で優位な点が多く、4つの在留資格の中で在留者数が最も多いビザです。後述する「訪問介護」の解禁が進めば、さらに在留者数が伸びていくことが予想されます。

介護職で外国人を採用する際の注意点


介護職で外国人を採用する際にはいくつか注意点もあり、以下で詳しく解説していきます。

現場教育や指導の負荷

外国人職員の教育や指導は、言語の壁や文化的な違いから、日本人職員に比べてより多くの時間と労力を要することがあります。既存職員の負担になってしまうため、受け入れには現場スタッフに十分な配慮が必要です。

煩雑な手続き

外国人を採用する際のビザ申請や更新プロセスは複雑で時間を要するため、事前の準備や適切な計画が必要です。不備があると、ビザ取得が遅れる原因にもなります。これらの手続きは、登録支援機関などに委託するケースがほとんどです。

宗教や文化への配慮

外国人職員の宗教や文化に配慮することは、職場での快適さや生産性向上に直結します。例えば、食事の内容やお祈り場所の提供など、受け入れる国籍・宗教によっては細かな配慮が求められることがあります。

特定技能で訪問介護には従事できない

特定技能介護の外国人は、現時点では訪問介護の仕事に従事することができません。しかし、厚生労働省は訪問介護にも特定技能外国人を受け入れる方向性で方針を固めており、これが確定すれば介護分野での外国人雇用が激増すると言われています。

特定技能介護の外国人を採用するには


今後は、「特定技能」制度で外国人の介護人材を採用するケースが主流となっていくことが予想されます。

特定技能で外国人を採用する場合、日本の登録支援機関を通して採用する施設がほとんどです。

海外の「送り出し機関」と呼ばれるところから直接雇用することも可能ですが、特定技能で外国人を雇用する場合、義務的支援として下記10項目のルールが受け入れ企業に定められています。

1.事前ガイダンス
2.出入国する際の送迎
3.住居確保や生活に必要な契約支援
4.生活オリエンテーション
5.公的手続き等への同行
6.日本語学習の機会の提供
7.相談・苦情への対応
8.日本人との交流促進
9.転職支援(人員整理等の場合)
10.定期的な面談・行政機関への通報

これらを自社で実施・支援するのは簡単ではなく、人材の紹介も含め登録支援機関に委託するケースがほとんどです。

特定技能外国人の受け入れに慣れてきた段階で、少しずつ自社支援に切り替えていくのがおすすめです。

また、登録支援機関に委託する場合は、特定技能介護の人材紹介実績が豊富な事業者を選びましょう。

介護業界特有の事情や、介護業務に関する知識をあらかじめ外国人に教育してから送り出してくれるため、入職後もスムーズに受け入れができるでしょう。

特定技能「介護」の採用に強いFuntocoとは


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