日本の外食産業は、深刻な人手不足の問題に直面しています。
このような状況下で、外国人材を採用できる特定技能ビザは外食産業にとって重要な解決策となり、年々その在留者数は増加しています。
また、特定技能制度においては、「協議会」も重要な役割を果たしています。
特定技能外国人の受け入れ企業は協議会への加入が義務付けられており、適正な労働環境の維持や外国人労働者の権利保護を目的としています。
そこで本記事では、特定技能「外食」の概要から、外食分野における協議会の加入要件および加入方法についても詳しく解説します。
2024年6月には制度の変更点も出ているので、しっかりと確認しておきましょう。
特定技能「外食」ビザの概要
特定技能ビザ(外食)は、日本の外食産業が直面する人手不足を解消するために設けられた制度です。
この就労ビザは、一定の技能と日本語能力を持つ外国人労働者が、日本で外食業務に従事できるものです。
以下では、特定技能「外食」の在留数や取得要件、対象業務、在留期間、他のビザとの違いについて詳しく解説します。
日本の外食業における外国人労働者数
特定技能の説明をする前に、まずは特定技能も含め、日本の外食業で働く外国人労働者の内訳を見ていきます。2021年(令和3年)時点では、日本の外食業で最も多く働いている外国人労働者の在留資格は、「資格外活動(=留学生アルバイト)」、次いで「永住者」や「専門的・技術的分野(調理師など)」となっています。
出典:農林水産省
2021年時点では、在留資格「特定技能」で働く外国人労働者はまだまだ少なかったわけですが、2022年以降、その数は急増しています。
特定技能「外食」の在留数
前述のとおり、特定技能「外食」の在留数は年々増加しており、2023年末時点での数は13,312人となっています。出典:出入国在留管理庁「分野別特定技能在留外国人数の推移」
特定技能全分野における外食分野の割合は6.4%(2023年末時点)となっており、他の分野と比べて多くはありませんが、全体に対する割合は制度開始以降、年々増えています。
日本の外食業界では未だ留学生アルバイトが多く働いていますが、それだけでは人手不足を賄えなくなっており、今後は特定技能人材が外食業界でさらに増えていくと予想されます。
特定技能「外食」の取得要件
特定技能「外食」ビザを取得するためには、申請者が外食業務に必要な技能試験と日本語能力試験に合格することが必要です。具体的には、外食業務に関する技能試験と、日本語能力試験N4以上の合格が求められます。
特定技能「外食」で可能な業務内容
特定技能ビザで認められる業務は、飲食店での調理、サービス、衛生管理、店舗管理などの業務です。最も一般的なのは、調理スタッフやホールスタッフで、デリバリー業務なども従事可能です。また、ホテル内のレストラン業務のみであれば、特定技能「外食」で従事できます。
ただし、デリバリーのみへの従事や、風俗営業許可が必要な店舗での業務、ホテル内での受付業務などは従事が認められていません。
特定技能「外食」の在留期間
特定技能ビザ(1号)の在留期間は1年、6か月、4か月のいずれかで、最長で5年間まで在留期間を延長することができます。特定技能1号から特定技能2号に移行することはできますが、移行するには2年間の店舗管理(副店長、サブマネージャーなど)の実務経験が必要です。
2号に移行できると、更新さえすれば制限なく日本に在留することができ、家族帯同も可能になります。
特定技能「外食」と他のビザとの違い
「特定技能ビザ」以外で一般的な「技能実習ビザ」は、人材育成を目的とした制度であり、一定の期間が過ぎると基本的に帰国する必要があります(特定技能1号への移行も可能)。しかし、「技能実習ビザ」は日本語能力が比較的低くても取得できるビザであり、実質上は就労を目的としたビザとなってしまっています。そのため、今後「技能実習ビザ」は廃止され、特定技能1号への移行を目的とする「育成就労制度」に変更されます。
🔽育成就労制度の詳細については、以下の記事をぜひご覧ください。
【2024年最新】育成就労制度の新設と技能実習制度の廃止について
また、外食業では留学生アルバイトを採用するケースも多いですが、即戦力として長期間働いてくれる特定技能人材の人気が業界では高まっています。
🔽特定技能「外食」ビザの取得に必要な要件や試験問題について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
特定技能「外食」で優秀な人材を確保!概要や取得要件など徹底解説!
特定技能協議会とは?
特定技能協議会とは、特定技能ビザで外国人労働者を受け入れる企業が加入する必要がある組織であり、特定技能対象の12の産業分野ごと(下記画像参照)に各管轄省庁が中心となり、業界団体や受入機関、登録支援機関、学識経験者などで構成されています。出典:法務省「特定技能ガイドブック」
この協議会は、特定技能外国人の適正な受け入れや、外国人の権利を守り保護するために設立されました。
各協議会は情報共有や連携を図り、特定技能外国人の受け入れ制度や優良事例を共有することはもちろん、受け入れ企業に対して調査や指導を実施することもあります。
食品産業特定技能協議会について
外食分野における特定技能協議会は、飲食料品製造業分野と共に「食品産業特定技能協議会」として農林水産省が中心となって設置されています。この協議会の主な目的は以下の通りです。
目的
- ・飲食料品製造業分野及び外食業分野における制度の適切な運用を図るため、食品産業特定技能協議会を設置する。
- ・協議会においては、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行う。
以下は、食品産業特定技能協議会の主な構成員および組織体制です。
出典:農林水産省「食品産業特定技能協議会について」
また、協議会の具体的な活動内容については、下記のとおりです。
活動内容〇 特定技能外国人の受入れにかかわる制度の趣旨や優良事例の周知
〇 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
〇 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
〇 地域別の人手不足の状況把握・分析
〇 人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
○ 受入れ機関の外国人労働者引き抜き防止の申し合わせ
〇 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議等 等
〇 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
〇 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
〇 地域別の人手不足の状況把握・分析
〇 人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
○ 受入れ機関の外国人労働者引き抜き防止の申し合わせ
〇 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議等 等
以上をまとめると、食品産業特定技能協議会は、制度の適切な運用、情報の共有と法令遵守の啓発、地域別の人手不足状況の把握などを目的に活動する組織であるということです。
特定技能協議会への加入要件
次に、特定技能協議会(食品産業特定技能協議会)への加入要件について詳しく解説します。
制度の重要な変更点もあるため、しっかりと確認しておきましょう。
加入時期
1.すでに特定技能の在留資格を取得済み、または出入国在留管理庁への在留諸申請が完了した外国人を受け入れる場合👉特定技能外国人の受け入れ開始後4か月以内に特定技能協議会に加入が必要です
2.初めて特定技能外国人を受け入れる予定で、出入国在留管理庁へ手続きを行う計画がある場合
👉出入国在留管理庁への在留諸申請の前に、協議会に加入が必要です
※2人目以降の受け入れの際は、改めて加入する必要はありません
※協議会加入審査には1~2か月要するので、早めの申請をおすすめします
2024年6月15日より、特定技能外国人の在留諸申請を出入国在留管理庁へ行う際に協議会加入証明書の提出が求められるようになりました。
そのため、協議会に加入していない場合は事前に協議会への加入申請を行う必要があります。
以下に、協議会加入における変更点をまとめました。
加入費用(会費)
外食分野における特定技能協議会への加入費用は現時点では無料です。ただし、特定の分野では入会金が必要な場合があり、外食分野においても今後は会費が必要になる可能性もあります。
特定技能協議会の加入方法(外食分野)
以下は、受け入れ機関(企業)が協議会に加入する際に必要な情報になります。以下の情報をもとに、ウェブ上の加入申請フォームから申請を行います。
加入申請時の必要情報
・特定産業分野(外食 or 飲食料品製造)・登録支援機関名
・氏名(代表者)
・法務省登録番号(◯◯登-◯◯◯◯◯◯)
・法人番号(13桁)
・郵便番号
・都道府県
・住所(市区町村以下)
・氏名(担当者)
・電話番号(担当者)
・メールアドレス(担当者)
・支援をしている特定技能外国人の在留カード番号と有効期間と国籍と氏名(アルファベット表記)と就業している事業所所在地(都道府県・市区町村)と支援委託契約元の特定技能所属機関
・受け入れている特定技能外国人の「特定技能」のビザ取得有無(はい or いいえ)
・食品産業特定技能協議会規約に同意し、必要な協力を行うことの有無(はい or いいえ)
特定技能外国人の在留カード情報を準備してから入力する必要があります。
申請フォームから送信すると、登録したメールアドレス宛にメールが届きます。そのメールに、入管へ提出した「特定技能外国人の受入れに関する誓約書の写し」と「営業許可証の写し」をPDF等で添付して返信し、申請完了です。
まとめ
特定技能協議会は、特定技能ビザで外国人労働者を受け入れるすべての企業が加入する必要があります。
外食分野では、「食品産業特定技能協議会」への加入が義務付けられており、加入方法や要件について正しく理解することが重要です。
登録支援機関では、特定技能ビザの取得から特定技能外国人の支援まで全面的にサポートしています。特定技能協議会への加入に関する相談も可能なので、不明点がある方は問い合わせてみましょう。
特定技能外食に強い登録支援機関「Funtoco」
特定技能「外食」人材の紹介・支援が可能な登録支援機関である弊社「Funtoco」では、累計1,400名以上(うち外食分野300名以上)の特定技能外国人を企業様にご紹介してきました。
圧倒的に高い定着率が強みで、Funtocoが紹介する特定技能外国人の企業定着率は全業種平均で85%以上となっています。
社員の半分近くを多国籍な外国人で占めており、紹介した人材や支援委託を受けた人材の支援を母国語で行える点も強みです。特に、外食人材や介護人材の紹介を得意としており、「ネパール」「ミャンマー」「インドネシア」の人材紹介に強い点も特徴です。
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