日本での外国人労働者の受け入れにおいて、「特定技能制度」と「技能実習制度」は重要な役割を担っています。これら2つの制度はよく混同されがちですが、それぞれ異なる特徴とメリット、デメリットがあります。
そこで本記事では、累計1,000名以上の特定技能外国人を企業様にご紹介している登録支援機関としての経験と知見を基に、これら2つの制度を詳細に比較し、それぞれの制度が持つ独自のメリットやデメリットについて解説します。
また、現行の技能実習制度については2024年以降廃止され、新しい制度に生まれ変わることが決まっており、その点についても詳しく解説していきます。
特定技能と技能実習の制度上の違い
外国人労働者の受け入れでよく比較されるのが、「特定技能」と「技能実習」の2つの制度です。特定技能は制度上転職も可能なので、それが理由で懸念を持つ企業もいます。
しかし、特定技能と技能実習では受け入れる目的がそもそも異なるので、まずは2つの制度の違いについて復習しておきましょう。
在留目的
特定技能における在留目的は「就労」であるため、条件を満たしていれば転職も可能です。一方、技能実習の在留目的は「就労」ではなく、あくまで「実習」であり、転職という概念がありません。
単純労働
特定技能は単純作業を含む業務に従事することが可能ですが、技能実習では単純作業の実施は認められていません。
受け入れ人数
特定技能においては受け入れ人数に制限は設けられていないのに対し、技能実習では受け入れる人数に上限があります。(ただし、介護・建設分野においては特定技能でも制限が設けられています)
就労条件
特定技能においては、「技能試験に合格する」ことが基本的な就労資格となっています。この試験では、日本語の能力(N4レベル相当)および技能水準が評価されます。
在留期間
特定技能(1号)の在留期間は最長5年ですが、2号に移行できれば上限なく在留できます。一方、技能実習は1号〜3号まであり、学科や実技の試験に合格できれば最長5年まで在留可能です。
以上が、「特定技能」と「技能実習」2つの制度において大きく異なる部分です。次に、それぞれの特徴(メリット・デメリット)を見ていきましょう。
特定技能制度のメリット・デメリット
まずは特定技能制度におけるメリット・デメリットを解説していきます。
メリット
人材の質
特定技能の一番のメリットは、技能実習と比べて日本語能力や労働意欲が高い点にあります。外国人を即戦力として採用したい場合は特定技能がおすすめです。
採用人数
特定技能においては、介護・建設分野を除いて受け入れ人数に制限は設けられていません。そのため、単純作業で数十名規模の大量採用なども可能です。
申請作業
特定技能は、技能実習と比べて人材の受け入れに関する申請作業がシンプルです。しかし、それでも煩雑な作業はあるため、自社で対応できない場合は登録支援機関などに委託しましょう。
法的制約
特定技能は、受け入れ後の法的な制約が少ないです。定期面談など守るべきルールや規則はありますが、技能実習よりも制約は多くありません。
採用コスト
技能実習においては煩雑な手続きや申請作業が多く、自社で対応しても外部に委託してもコストがかかります。特定技能はそれと比較すると、委託する場合でもコストは抑えられるでしょう。
デメリット
転職
上述したように、特定技能は制度上転職が可能です。そのため、人材を定着させるための努力や工夫が求められる点はデメリットと言えます。
在留期間
最も一般的な特定技能1号では、在留期間が最長5年までと定められています。長期目線で人材を育成し、会社に定着させられない点はデメリットです。
採用難易度
自社で人材を採用する場合、優秀な人材を集めるのは非常に難しいです。国によって特徴も大きく異なるため、現地に精通した登録支援機関等への委託をおすすめします。
技能実習制度のメリット・デメリット
次に技能実習制度におけるメリット・デメリットを解説していきます。
メリット
技能実習はあくまで「実習」が目的の制度のため、転職という概念がなく最長3年間は労働力を確保できます。しかし、海外からは「現代の奴隷制度」とも揶揄されており、安い賃金で奴隷のように働かせる企業が残念ながら存在しています。
失踪者も毎年かなりの数が出ており、現行の技能実習制度で人材を受け入れるメリットはほとんどありません。
デメリット
人材の質
技能実習は「実習生」という扱いのため、日本語能力が基本的に高くありません。そのためコミュニケーションも難しく、人材の質も低い傾向にあります。
採用人数
技能実習では受け入れ人数に上限が設けられているため、特定技能のような大量採用はできません。
申請作業
技能実習の申請作業は煩雑で、手間とコストがかかります。基本的には外部に依頼することになり、特定技能よりも費用がかかります。
法的制約
技能実習は法的な制約も多く、可能な業務内容も限られています。
採用コスト
特定技能に比べて申請作業などが煩雑なため、1人あたりの採用コストは上がってしまいます。
技能実習制度が廃止。新制度はどんな内容?
現行の技能実習制度においては大きなメリットがないとお伝えしましたが、日本政府は現行の技能実習制度を「発展的に解消」し、代替となる新制度を創設すると2023年6月に発表しました。
早ければ2024年度中に方針が確定する予定です。
新制度の概要(たたき台)はすでに政府から発表されていますが、要約すると以下の通りです。
・新制度は特定技能1号水準の人材を3年間の就労を通じて育成する制度
・新制度は特定技能への移行を円滑にするためのものである
・外国人の人権保護の観点から、本人の意向による転籍を認める
・家族帯同については現行制度と同様に認めない方針
・就労開始時点での日本語能力はN5レベル相当が必要であり、特定技能1号移行時にはN4レベル相当の試験合格が必須
以上になります。
いずれにしても「特定技能制度」はそのまま残り、新制度から特定技能制度への在留資格の移行をよりスムーズに行えるような改革になります。
新制度からの移行も含め、今後日本は特定技能ビザで在留する外国人労働者が中長期的にさらに増加していく見込みです。そのため、企業は今のうちから特定技能外国人が働きやすい労働環境の構築に注力していくべきでしょう。
特定技能外国人の定着率が85%を超える登録支援機関「Funtoco」
登録支援機関である弊社「Funtoco」では、累計1,000名以上の特定技能外国人を企業様にご紹介してきました。圧倒的に高い定着率が強みで、Funtocoが紹介する特定技能外国人の企業定着率は全業種平均で85%以上、介護職にいたっては90%以上となっています。
社員の半分近くを多国籍な外国人で占めており、紹介した人材や支援委託を受けた人材の支援を母国語で行える点も強みです。また、介護や外食、食品製造業の人材紹介を特に得意としており、「ミャンマー」「インドネシア」「ネパール」の質の高い人材をご紹介可能です。
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