日本の飲食業界は現在、深刻な人手不足に直面しています。少子高齢化や新型コロナウイルスの影響により、特に飲食店での人材確保が難しくなっています。

多くの飲食店がこの問題に頭を悩ませており、従業員の離職率が高まる中で、店舗運営に支障をきたしている事例も少なくありません。

しかし、こうした状況の中で「特定技能外国人」の採用が新たな解決策として注目されています。

そこで本記事では、飲食店が人手不足に陥る主な原因とその解決策、そして特定技能外国人の採用について詳しく解説します。

飲食店の6割以上が人手不足

2022年の帝国データバンクが発表した調査によると、全国の企業のうち47.8%が正社員不足に悩んでいます。

特に飲食店では、その割合が65.1%に達し、情報サービス業に次いで2番目に高い数値となっています。

出典:帝国データバンク

さらに、非正社員に関しては、全国平均で28%が人手不足を感じている中、飲食店では76.6%と唯一7割台に達しており、業界全体で深刻な労働力不足が顕著です。

出典:帝国データバンク

新型コロナウイルスが落ち着きついた現在でも、人と直接接する機会が多い飲食店では新規採用が困難な状況が続いています。

今後も人手不足が加速することが予想されるため、飲食店では「人が辞めない職場環境を作る」「少人数でも店舗を運営できる体制を整える」「外国人労働者を採用する」などの対応が求められています。

飲食店で人手不足が起きている5つの原因


飲食店が他業種と比べて特に人手不足に陥りやすいのには、いくつかの要因があります。

ここでは、主な原因を詳しく見ていきます。

賃金の競争力不足

飲食業界では、他の業界と比較して賃金が低めに設定されていることが多く、特に長期間勤務しても賃金が大幅に上昇しにくいという特徴があります。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、飲食サービス業の平均賃金は他業種に比べて低く、このことが人材確保において大きなハンディキャップとなっています。

賃金が上がりにくい業界特性により、経験を積んだ従業員がより良い条件を求めて他業種へ転職するケースも多発しています。

過酷な労働環境

飲食業界では、長時間労働や不規則なシフトが一般的であり、特に休憩時間が十分に取れないことや、休日の確保が難しいという問題が深刻です。

このような過酷な労働条件が従業員に大きな負担を強いる結果、離職率が高まり、さらに人手不足を悪化させています

特に、ピーク時には休憩を取る余裕がなく、連続して働かなければならない状況が、従業員の疲労やストレスを増大させる原因となっています。

教育・研修の不足

特に小規模な飲食店では、新人教育に十分な時間やリソースを割けないことが多いです。その結果、新人スタッフが業務に適応できず、早期に退職してしまうことがあります。

研修が不十分だと、顧客満足度の低下にもつながりやすく、結果的に店舗の評判や売上に悪影響を及ぼします。

新人が定着しないことで、ベテランスタッフへの負担も増し、さらなる人手不足を招く悪循環に陥ることが多いです。

コロナ禍の影響

新型コロナウイルスの影響は、飲食業界に特に大きな打撃を与えました。感染拡大による客足の減少や売上の低迷は、従業員のシフト削減や解雇に直結しました。

また、感染リスクを考慮して退職を決意するスタッフも多く、労働力の確保が一層困難になりました。

現在でも、コロナ以前の水準に戻らない店舗が多く、安定した人材確保が課題となっています。

売上不足による人材投資の制限

飲食店の多くは、売上が安定していないため、人件費に投資する余裕がない状況にあります。特に小規模な個人店では、売上が事業主の収入に直結するため、人件費を削減するしか選択肢がなく、結果として人手不足が悪化するケースが少なくありません。

このような場合、事業主が直接現場に立つことが多くなり、結果的にオーナーの過労や店舗運営の限界を引き起こすこともあります。

飲食店の人手不足を解決する5つの方法


人手不足が深刻化する飲食業界において、具体的な解決策を実践することが重要です。

ここでは、効果的な方法をご紹介します。

雇用条件の見直し

まずは、賃金や労働時間などの雇用条件を他店と比較し、魅力的な条件を設定することが重要です。特にシニア層や外国人労働者の雇用を検討し、採用の幅を広げることで、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。

また、賃金アップや労働時間の短縮、資格取得支援などの制度を導入することで、求職者の目に留まりやすくなります。

労働環境の改善

労働環境の改善は、従業員の離職率を低下させるために非常に重要です。例えば、シフトの調整や休憩時間の確保を徹底することで、従業員が働きやすい環境を整えることができます。

また、休日の増加や福利厚生の充実を図ることで、従業員の満足度を高めることができます。これにより、長期的な人材確保が可能となり、店舗運営の安定化につながります。

教育制度の充実

新人スタッフが早期に業務に適応できるよう、研修プログラムを充実させることが重要です。

具体的には、マニュアルの整備やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の強化を行い、従業員が自信を持って業務に取り組める環境を作ります。

これにより、従業員の定着率が向上し、顧客満足度の向上にもつながります。

特定技能外国人の採用

新たな解決策として注目されているのが、特定技能外国人の採用です。特定技能ビザを持つ外国人労働者は、外食業界でも即戦力として活躍できるため、人手不足の解消に大きく貢献します。

また、多言語対応や異文化理解の促進により、サービスの質を向上させることができます。

特定技能外国人の採用は、長期的な視点で見ても有効な戦略となります。

デジタル化の推進

業務効率化を図るため、デジタルツールの導入を進めることも効果的です。例えば、注文管理システムやシフト管理アプリの導入により、少ない人数でも店舗運営がスムーズに行えるようになります。

また、デジタル化によるデータの一元管理が可能となり、経営判断の迅速化やコスト削減にも寄与します。

日本で働く外国人労働者は200万人を突破

日本における外国人労働者数は、年々右肩上がりで増加しています。厚生労働省のデータによると、2023年10月末時点で外国人労働者数は200万人を突破しました。

出典:厚生労働省「産業別外国人労働者数の推移」

飲食業においても、近年その需要は大きく高まっています。

また、国籍別に外国人労働者の割合を見てみると、ベトナム、中国、フィリピンで全体の半数以上を占めており、宿泊業、飲食サービス業に従事する外国人労働者は約23万人です(2023年10月末時点)。

出典:厚生労働省「国籍別外国人労働者の割合」

出典:厚生労働省「産業別外国人労働者の割合」

人手不足に悩む飲食店にとって、外国人労働者の重要性は今後ますます増していくと考えられます。

特定技能ビザが飲食店の外国人採用のトレンドに

現在、飲食店で外国人を採用する際のトレンドが、前述した「特定技能ビザ」に移りつつあります。

以下では、特定技能ビザについて簡単に解説します。

特定技能ビザの概要

特定技能ビザは、特定の分野で即戦力として働ける外国人労働者を受け入れるための新しい制度です。

特定技能ビザの対象となる産業分野は12分野あり、外食分野はそのうちの一つで、飲食店の人手不足を補うために近年積極的に活用されています。

以下は、特定技能で日本に在留する外国人数の伸びを表したグラフです。


出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の推移」

2019年4月に制度がスタートし、2020年以降コロナ禍が収まってから、毎月急激に在留人数が伸びていることがわかります。

また、以下のグラフを見ると、分野全体に占める「外食業」の割合が年々増加していることもわかります。


出典:出入国在留管理庁「分野別特定技能在留外国人数の推移」

以上から、今後は特定技能外国人が飲食店の外国人採用のトレンドになっていくことが予想されます。

特定技能ビザ(外食)の在留期間

特定技能には1号と2号の2種類がありますが、現状は1号で在留する外国人がほとんどです。

特定技能(1号)の在留期間は1年、6か月、4か月のいずれかで、最長で5年間まで在留期間を延長できます。

特定技能1号から特定技能2号に移行することができますが、移行するには2年間の店舗管理(副店長、サブマネージャーなど)の実務経験が必要です。

2号に移行できると、更新さえすれば制限なく日本に在留することができ、家族帯同も可能になります。

👇特定技能「外食」についてもっと詳しく知りたいという方は、以下の記事もチェックしてみてください。
特定技能「外食」で優秀な人材を確保!概要や取得要件など徹底解説!

飲食店で特定技能外国人を採用する方法


飲食店で優秀な特定技能外国人を採用するには、経験豊富な登録支援機関を活用することが効果的です。登録支援機関では、外食業に適切な人材のマッチング、ビザ申請手続き、入国対応、受け入れ後の教育や生活支援、定期面談、トラブル対応など、包括的な支援を行なっています。

この全てを自社で行うことも可能ですが、初めて特定技能外国人を採用する場合は登録支援機関をまず利用する場合がほとんどです。

一方で、外国人材が早く職場に適応できるよう、受け入れ企業(飲食店)も積極的に日本語や日本文化の研修を実施し、既存スタッフとのコミュニケーションを促進することで、労働環境を整え、定着率を高めることも重要です。

特定技能外国人を採用したい企業(飲食店)は、外食人材の紹介・支援実績が豊富な登録支援機関を活用しましょう。

特定技能「外食」に強い登録支援機関Funtoco


特定技能「外食」人材の紹介・支援が可能な登録支援機関である弊社「Funtoco」では、累計1,400名以上(うち外食分野300名以上)の特定技能外国人を企業/飲食店様にご紹介してきました。

圧倒的に高い人材定着率が強みで、Funtocoが紹介する特定技能外国人の企業定着率は全業種平均で85%以上となっています。

社員の半分近くを多国籍な外国人で占めており、紹介した人材や支援委託を受けた人材の支援を母国語で行える点も強みです。特に、外食人材や介護人材の紹介を得意としており、「ネパール」「ミャンマー」「インドネシア」の人材紹介に強い点も特徴です。


人手不足にお悩みの飲食店様はもちろん、外国人採用に不安がある飲食店様、あるいは採用した外国人材の支援・サポートに手が回っていないという飲食店様は、ぜひFuntocoにお問い合わせください。