日本の居酒屋業界は、少子高齢化や労働環境の変化に伴い、深刻な人手不足に直面しています。特に深夜勤務や週末の繁忙期には、スタッフの確保が難しい状況が続いています。

このような中で、外国人材の採用が近年注目されており、特定技能制度を活用することで、即戦力として活躍する外国人を雇用する企業が増加しています。

そこで本記事では、居酒屋で外国人を採用する際のメリットや必要な在留資格、注意点について詳しく解説します。

また、最新データを基に現状を把握しつつ、特定技能制度のメリットにも触れます。初めて外国人採用を検討している企業の方は必見の内容です。

居酒屋業界における人手不足の現状


居酒屋業界では、アルバイトスタッフの確保が特に難しくなっています。

厚生労働省の統計によると、2023年の外食業界における有効求人倍率は、飲食物調理従事者で2.83倍接客・給仕職業従事者では3.25倍に達するなど、極めて深刻な人材不足が浮き彫りになっています。

特に若年層の応募が減少しており、外国人材に対する期待が高まっています

さらに、コロナ禍以前は外国人留学生がアルバイトの中心的な役割を担っていましたが、パンデミック中の入国規制によりその数は激減。現在もその影響は完全には回復しておらず、特定技能制度が人材確保の鍵となってきています。

居酒屋で外国人を採用できる在留資格


外国人を居酒屋で採用する際には、以下の在留資格が適用されます。

それぞれの特徴を理解し、適切に活用することが重要です。

特定技能ビザ(1号)

特定技能ビザは、日本の労働力不足を補うために2019年に導入された新しい在留資格です。

このビザは、特に飲食業界で外国人正社員を採用する際に利用されることが多く、業務内容としては飲食物の調理、接客、店舗管理などが含まれます。

特定技能1号では、最大で5年間の在留が認められ、技能水準を測る試験と日本語能力試験(JLPT N4以上)の合格が必要です。また、一定の条件を満たすと、特定技能2号に移行することができ、より長期的な在留や家族の帯同も可能となります。

また、詳しくは後述しますが、特定技能ビザの取得には登録支援機関または外国人の自社支援体制の整備が必要です

技術・人文知識・国際業務ビザ

技術・人文知識・国際業務ビザは、主にデスクワークや経営管理に従事する外国人を雇用する際に適用されます。飲食店の運営や経営を担当するポジションでの採用が想定され、一般的なホールスタッフや調理師などの現場業務には適用されません

このビザを取得するには、学士号や専門的な資格が必要で、申請者が学んだ分野に関連する職務に就くことが求められます。

経営管理職やマーケティング職など、飲食店の拡大や発展をサポートする役割に適した在留資格です。

技能ビザ(シェフ)

技能ビザは、主に居酒屋などで調理師として外国人を雇用する際に利用されます。このビザを取得するためには、調理に関する実務経験が10年以上必要とされ、対象となる職種は主に専門料理(外国料理など)に限られます。

例えば、タイ料理のシェフを正社員として雇用する場合、この技能ビザが必要になります。

技能ビザを取得することで、外国人シェフを日本国内で長期的に雇用することが可能となり、店舗の特色あるメニューを提供することができます。

特定活動ビザ(告示46号)

特定活動ビザ(告示46号)は、日本の4年制大学を卒業し、日本語能力試験1級(JLPT N1)に合格した外国人に対して発行されるビザです。

このビザを持つ外国人は、ホールスタッフやキッチンスタッフなど、飲食店での現場業務に従事することが可能です。高度な日本語能力を持っているため、顧客対応やスタッフ間のコミュニケーションにおいても円滑に業務を進めることが期待されます。

しかし、N1取得は非常にハードルが高いため、全体の人数としては多くありません

留学ビザからの切り替え

留学生をアルバイトから正社員にする際は、上述の「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能1号」への在留資格変更が必要です。

特に、業務内容と学歴の関連性が重要な要件となります。

永住者・定住者・日本人の配偶者ビザ

これらの資格を持つ外国人は、日本人と同様の条件で働けます。時間や業務内容の制限がないため、柔軟な雇用が可能です。

居酒屋で外国人を採用するメリット


外国人材の採用は、単に人手不足を補うだけでなく、経営面で多くのメリットをもたらします。

労働力不足の解消

外国人労働者は、給与が高い夜間や週末勤務にも積極的であり、居酒屋のシフト運営を安定させる大きな助けとなります。

多言語化や新たなサービス提供

外国人スタッフの採用により、多国籍な視点がサービス向上や新メニュー開発に活かされるケースもあります。外国人観光客に対応した接客力の向上や、多文化交流の機会も増やせるでしょう。

特定技能制度の将来性

特定技能制度は、日本政府が今後もっとも力を入れて推進する在留資格制度です。長期的な労働力確保の手段として、外食業界全体での導入が進んでいます。今のうちから特定技能人材の採用に慣れておくことで、今後さらに深刻となる国内人材の労働力不足に対応していけるでしょう

居酒屋で外国人を採用する際の注意点


外国人を採用する際には、いくつか注意点もあります。以下では、採用手続きや就労条件、文化的な対応について解説します。

在留資格の取得と更新手続き

居酒屋で外国人を採用するためには、まず適切な在留資格を取得する必要があります。また、在留資格によっては有効期限があるため、定期的な更新手続きが必要です。

更新手続きが遅れると、外国人労働者が不法滞在となるリスクがあるため、注意が必要です。

特に、初めて外国人を採用する場合は、ビザ申請に慣れていないことが多いため、専門機関や登録支援機関などのサポートを受けましょう

労働契約と条件の整備

外国人を採用する際には、日本人と同等の労働条件を提供することが求められます。労働基準法に基づいた労働契約を締結し、給与や労働時間、休日などの条件を明確にすることが重要です。

また、外国人労働者の職場適応を支援するために、日本語教育や職場の文化に関する研修を提供することも効果的です。

文化・言語の違いへの対応

外国人を採用する際には、文化や言語の違いに対する対応が必要です。異文化のバックグラウンドを持つ外国人労働者がスムーズに職場に適応できるよう、日常的なサポートやコミュニケーションの場を設けることが重要です。

業務に必要な日本語を教えるための研修や、他のスタッフとのコミュニケーション機会を積極的に作る工夫が必要です。

登録支援機関の活用(特定技能人材の場合)

特定技能外国人を正社員として採用する場合、ビザの取得や生活支援などで困ることがあるかもしれません。こうした場合に、登録支援機関を活用することで、必要な手続きやサポートを受けることができます。

特に、初めて外国人正社員を採用する居酒屋飲食店にとっては、登録支援機関のサポートが大きな助けとなります

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