- 特定技能の14業種での受け入れ状況
- 特定技能外国人の人数とルート
- 今後の見通し
特定技能の14業種での受け入れ状況
2019年4月からスタートして特定技能制度ですが、様々な要因があり、進捗が遅れているというニュースが目立ちます。現状では、どの程度の進捗具合なのかを法務省のデータを基にみていきます。
最新の分野別の数字は2020年5月末まで公表されているので、そちらの数字を分野毎に一覧にしました。
5年間の受入目標(人) | 2020年5月末(人) | 受入率 | |
---|---|---|---|
1.介護業 | 60,000 | 118 | 0.20% |
2.ビルクリーニング業 | 37,000 | 60 | 0.16% |
3.素形材産業 | 21,500 | 502 | 2.33% |
4.産業機械製造業 | 5,250 | 519 | 9.89% |
5.電気・電子情報関連産業 | 4,700 | 235 | 5.00% |
6.建設業 | 40,000 | 322 | 0.81% |
7.造船・船用工業 | 13,000 | 168 | 1.29% |
8.自動車整備業 | 7,000 | 48 | 0.69% |
9.航空業 | 2,200 | 2 | 0.09% |
10.宿泊業 | 22,000 | 34 | 0.15% |
11.農業 | 36,500 | 844 | 2.31% |
12.漁業 | 9,000 | 49 | 0.54% |
13.飲食料品製造業 | 34,000 | 1852 | 5.45% |
14.外食業 | 53,000 | 472 | 0.89% |
合計 | 345,150 | 5225 | 1.51% |
全業種で受入率が低く、5年間であれば初年度に20%が目安になるかと思うのですが、1番受入率が高い産業機械製造業でも10%弱という結果でした。合計でみても1%台の受入率となっており、この先どのように受け入れが進んでいくかが今後のポイントになるでしょう。
特定技能外国人の人数とルート
特定技能外国人としてビザを取得するには、試験に合格するか、技能実習修了するか、業種毎のその他のルールでなるかの大きく3通りになります。毎四半期に法務省から出されている詳細データを基に人数とそのルートをみていきます。詳細データは四半期毎のため、最新の数字は2020年3月末のものになります。この時点での特定技能外国人は3631人になります。
では、一覧をどうぞ。
2020年3月末 | 試験ルート | % | 技能実習ルート | % | その他 | % | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1.介護業 | 14 | 25.00% | 0 | 0.00% | 42 | 75.00% | 56 |
2.ビルクリーニング業 | 0 | 0.00% | 27 | 100.00% | 0 | 0.00% | 27 |
3.素形材産業 | 0 | 0.00% | 437 | 100.00% | 0 | 0.00% | 437 |
4.産業機械製造業 | 0 | 0.00% | 428 | 100.00% | 0 | 0.00% | 428 |
5.電気・電子情報関連産業 | 0 | 0.00% | 184 | 100.00% | 0 | 0.00% | 184 |
6.建設業 | 0 | 0.00% | 267 | 100.00% | 0 | 0.00% | 267 |
7.造船・船用工業 | 0 | 0.00% | 156 | 100.00% | 0 | 0.00% | 156 |
8.自動車整備業 | 0 | 0.00% | 36 | 97.30% | 1 | 2.70% | 37 |
9.航空業 | 0 | 0.00% | 0 | 0.00% | 0 | 0.00% | 0 |
10.宿泊業 | 19 | 100.00% | 0 | 0.00% | 0 | 0.00% | 19 |
11.農業 | 0 | 0.00% | 686 | 100.00% | 0 | 0.00% | 686 |
12.漁業 | 0 | 0.00% | 10 | 100.00% | 0 | 0.00% | 10 |
13.飲食料品製造業 | 2 | 0.14% | 1400 | 99.86% | 0 | 0.00% | 1402 |
14.外食業 | 246 | 100.00% | 0 | 0.00% | 0 | 0.00% | 246 |
合計 | 281 | 7.10% | 3631 | 91.81% | 43 | 1.09% | 3955 |
予想通り圧倒的に技能実習ルートが多い状況です。介護、宿泊、外食の3分野は技能実習ルートがないもしくはまだ修了者がいないという状況なので、試験ルートが多くなっていますが、その他の業種に関してはほぼ0%の状態になっています。
もちろん、これは試験が実施されていないということやコロナウイルス感染症の影響で入国ができていないという要因も大きいと思いますが、現状では技能実習からの特定技能が圧倒的に多いという現状になります。
今後の見通し
あくまで弊社の推測ではありますが、今後は試験ルートの特定技能外国人が増加していく可能性が高いと思われます。宿泊、外食は試験ルートのみですし、介護も今後は試験ルートがメインです。また、コロナウイルス感染症の影響もありますが、随時他業種も試験を行っていくと思われます。
しかし、技能実習の方が制度的に古く、現地や受け入れのバリューチェーンが構築されているため、技能実習制度も根強く残っていくと思われます。弊社としては、労働のためであれば、特定技能。実習のためであれば、技能実習。というように、そもそもの制度の主旨に沿って、外国人の受け入れ、定着が進んでいけばと思っており、そのためにできる部分で尽力できればと思っております。